天皇賞(春)2020 予想

ジョーカー・ミッキースワロー&春天3勝・横山典弘コンビに期待したい。

筆者、まともに春の天皇賞を当てた記憶がここ15年はないので、データを活用してこうなった。

毎年のように菊花賞レコードが更新され、菊花賞馬圧倒的優位の流れがやや収まったここ四半世紀ばかり春天史を精査し、特に、血統的見地で使える要素をかき集めてみたのだが、実は、12年のジョーカー・ビートブラックの後だと、ステイゴールド・ディープの兄弟の2種の系統からしか勝ち馬は出ていないのである。

まあ、今年はもっとこの傾向を崩さないといけないから、フィエールマンとかエタリオウ以外で買える馬を拾う要素は何かともう一度勝ち馬の血統を見直していくと、

「リファール・ノーザンテースト・ナスルーラ系」

という組み合わせで、ヘイルトゥリーズン系が入っていて、ノーザンダンサーのクロスを持っている3つの内2つくらい持っている馬が勝ち切るという構図が顕在化したのだ。

ミッキースワローで言えば、父はトーセンホマレボシでその中にセクレタリアトとノーザンテーストが入っている。

リファールの血とノーザンダンサーの5×3もある。

母マドレボニータはジャングルポケットの産駒。言わずと知れた、トニービンの最優良後継馬。

母もリファールの血を持ち、ノーザンダンサーは4×3。

加えて、母方にはカロも入っている。

ミッキースワローの代では、ノーザンダンサーは(6×4)×(5×4)で、直仔リファールはもっと強く5×3。

同系と言えるキタサンブラックとフィエールマンとは、若干の方向性が違う配合でも、勝ち切った2頭のナスルーラはボールドルーラーでありプリンスリーギフトなのに対し、直系でカロはビワハヤヒデ、ジャングルポケットもジャガーメイルを送り出している以上、配合的な死角はむしろ少ない。

そうなると、これまでのパフォーマンスをどう解釈するか。

AJCCは不利もあっての敗戦なのだが、直後の日経賞で勢いで勝るモズベッロに少なくとも追い負けてはいなかった上に、しっかりと勝ち切ったことを考えると、では、福島記念で58.5を何とか克服して3着、その直前のオールカマーはGⅠ仕様の追い込みにシフトして2着。

七夕賞は何もかも彼の流れだったわけだが、要するに、菊沢一樹騎手が乗りこなせる技量を持ったと同時に、多少は敏感さが和らいで、いい意味でのズブさが備わってきたということの証左に思えたのである。

サクラローレルが1年休んで本当に強くなったことを示した96年の劇的勝利のシーンはさておき、イングランディーレとゴールドシップに関しては、どう考えても、他の馬の動きに関係ないところで勝ち運を手繰り寄せた横山騎手のテクニックが勝因に思う。

名馬が紡ぐ物語もある一方、3200M戦の天皇賞には、騎手のドラマがある。

岡部騎手はグリーングラスを上手にエスコードしてから何度も名騎乗を見せていったが、その同期の福永洋一と柴田政人両名手の春秋での神騎乗も実に印象深い。

ユタカ騎手だって、大好きなエビちゃんとワンツーしたこともあるフェノーメノとの戦いが記憶に残る。

97年の春。武豊騎手と横山騎手が一緒になって、有馬記念の再現かそれ以上の競馬を展開しようした瞬間、外から恐ろしいまでの追い込みで最後の戴冠を果たす人馬の執念を、彼らは感じる。

少し調子に乗っていたものが、すっかり軌道修正されたから、二人は素晴らしいダービー初制覇の時間を堪能できた。

動かしてはいけないところであっても、動いていくべき場面もある。

それをさせないための仕掛けもあるし、そのあとから仕掛ける勝ちパターンをも体得し、この大舞台で数々手練手管を繰り出してきた。

齢50を過ぎ、より馬との一体化を重視する横山騎手だが、今、ミッキースワローとのタッグで求めることは、甥の菊沢騎手がデビュー時から丹念に教え込む中で、一度は頓挫した、中団待機からのスムーズな好位差し。

枠も動きに制約がある真ん中やや内の発走だが、そういうところからセントライト記念は抜け出して、アルアインを瞬く間に置き去りにして見せたのだ。

距離が延びると、他の馬だってキレ味勝負とはいかない。

一方で、その武器を活かす策が今回は容易に出来そうだ。

ローレルで勝った時のような豪快な差し切りでなくても、少しは人間の考えに従順になった6歳馬には、距離延長の死角は少ないから、今度はトップガンの再現をするチャンスとなる。

高速馬場はそこまで得意ではないから、それなりの雨量があっても、味方につけられるだろう。

ただ、誰も逃げたくはないのだから、逆に…。それもトップガン&田原的自在性なのだが、今回は表向きアリ寄りのナシの方向でお願いしたい。