ヴィクトリアマイル2020 予想

・アーモンドアイ、ノームコア、サウンドキアラらは、いずれも2歳デビューの馬であり、その当時から概ね、一回り以上、ノームコアに至っては30kg以上馬体重が増えている。

・アーモンドアイはどういうわけだか、フレッシュな時こそ魅力全開なのだろうが、前走から3か月以上レース間隔が開いているとシンザン記念から始まり、重賞ばかりを5連勝中。

・ノームコアには道悪の不安はないが、元々線が細かったような馬であり、初物は苦手。東京の1600Mは昨年のこのレースが初めてだったが、マイルは中山で快勝している。

・サウンドキアラの東京への適性への疑問と、京都以外への苦手意識は、机上の空論だろう。昨年、1:31.2で7着だったこのレース以外、3歳春までの2戦が4着だった例外を除けば、全て3着以内。

プリモシーンには昨年優勝のレーン騎手が騎乗するが、ノームコアと比べると、先週のルフトシュトロームくらいデリケートと思って乗るはず。

動いてはダメという前走の内容を踏まえると、ハマればかなり怖いけどというレベル。

4歳馬を残りの4頭に指名したが、これは何とも言えない。

それならば、成長力に富んだハーツクライ産駒のシャドウディーヴァが、一番買いの材料は多い。

当該年の牡馬重賞好走馬は、勢いそのままに来てしまう。

さて。アーモンドアイに期待した本音なのだが。

鞍上のバッティングと藤沢調教師がグランアレグリアに感じた異変などから、管理する国枝調教師との関係性などまで考えると、続けて緊急参戦になったとはいえ、今回は阿吽の呼吸もあって有馬記念の時は異なり、しかし、あまりにも調子がいいからこその参戦は同じと見て取れた。

有馬記念の敗因はいっぱいあるが、その一因に、調子が良すぎた可能性も挙げられる。

コーナーの多い競馬など、東京を除くと、半ば勝負を捨てて、三冠と目指さないという究極の手段を以って、自慢のスパート力に磨きをかけた秋華賞しか経験していない。

東京の中距離戦も、あの安田記念も自分がハイペースの中に身を置いたわけではないけど、有馬記念はハイペースを自分らしい競馬以上の動きで早く動いてしまった、動けてしまったから、ディープの凱旋門賞のように、最後はヘタってしまったのだ。

元の策に戻した途端、その屈辱の記録さえ消されたディープインパクトは、迫力の直線一気でJCを独走する。有馬記念も完璧だった。

一見すると特殊な馬だが、ディープインパクトは最後は小さくなったくらいだったのに、デビューが早く、新馬も勝っていないアーモンドアイは、すでにクラシック当時のキレだけで勝負する馬ではなくなった。

快時計勝ちの秋天など、好位抜け出しである。

前に行けるとは言わないが、自慢の後傾加速能力の非凡さは、ここぞの東京GⅠ圧勝時で、上がりがメンバー中2番だったことでも、ハイレベルで変質しているのである。

普通の状態でGⅠを勝てる馬。

今更、こんな講釈を加えずとも、いくらでも勝てる材料が見つかるアーモンドアイが、再び女傑としてのステータスを取り戻す時、我々は物の本質について考え直すことになる。

古馬になってもマイルをこなせる馬は、それより長い距離で自在のスパートをかけられる。

ウオッカとディープスカイとで大きな差が生まれたあの安田記念で感じたのは、動ける能力と同時に、そもそも抑えて勝負しているのか、最初から後ろからの競馬を選択していたのかの差。

オグリキャップが安田記念で直後にGⅠを勝つ面々を子供扱いしたのも、この構図だ。

東京では常に、強烈な時計を叩き出しているアーモンドアイが、ついに普通に競馬をする未勝利時代の彼女に戻る。

相手は強力だが、相手が強いからこそ、彼女の力が明白な形で証明されてきた舞台で、故障や接触事象等のアクシデントがない限り、負けることはない。

それは、自分のポジションを知ったノームコアも同じだろう。

横山典弘騎手はブラックホークとブエナビスタで、東京マイルで差すという実績を残しているが、熟した彼らを駆る時、スピードの出し方に工夫をした上での、至高の騎乗であったように思う。

東京マイル2戦2勝。何度も武豊の本命馬に挑み、最高の2着を繰り返してきた実績とノームコア自身の実力は、やはり侮れない。