ヴィクトリアマイル2021【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着グランアレグリア(1.3倍)2着ランブリングアレー(75.2倍)3着マジックキャッスル(14.7倍)

レース名第16回ヴィクトリアマイル
日程2021年5月16日(日曜)
優勝馬グランアレグリア
優勝騎手C.ルメール
勝ちタイム1:31.0
馬場
3連単配当28,750円

ヴィクトリアマイル2021 - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
16グランアレグリア1:31.0-
28ランブリングアレー1:31.7 4
31マジックキャッスル1:31.7 クビ
414ディアンドル1:31.8 クビ
52シゲルピンクダイヤ1:31.8 クビ
単勝6130円
複勝6110円
複勝8790円
複勝1210円
枠連3-41,330円
ワイド6-81,550円
ワイド1-6330円
ワイド1-85,080円
馬連6-83,620円
馬単6-84,630円
3連複1-6-88,460円
3連単6-8-128,750円

ヴィクトリアマイル2021 - レース後コメント(騎手/厩舎

「彼女はスタートは良くないので道中はミドルポジションになりました。4角は抜群の手応えした。改めて彼女は自分の能力を見せてくれた。G1は5勝目ですが、また勝てると思います」

※ルメール騎手のコメント(グランアレグリア)

ヴィクトリアマイル2021 - レース結果動画(YouTube)

※実況レース映像

ヴィクトリアマイル2021 - 回顧

中段の理想のポジションにつけて、安田記念より速く走れるコンディションで、無難な立ち回り。

スプリンターズSは仕上げていないからこそ、序盤のハイペースに戸惑いつつ、仕掛けのタイミングが大いに遅れた中での大外一気だった。

今回は仕上がっていた。

理想の体つきになって、完成された状態。

グランアレグリアを落ち着かせることに苦心した藤沢和雄調教師も、多少カッカするところまで予測された仕上げで、まるで自分を見失うことはなく、パドックからゴールシーンまでの間で、ゴール直前に駆けていった瞬間が最も落ち着いていたような気がする。

もはや、自分の脚を使えせてもらえる展開にならなかったという意味では、昨年以上に思考停止、パフォーマンスを上げることの敵わなかったその他ライバル陣営、の構図となっていた。

何も今更語られるべきものはないが、今回の直線でも、自身上がり3Fで32.6秒という驚嘆の末脚を発揮したのは、芝血統としてのディープインパクトの凄味を、母父で北米圏のトップサイアーであるタピットが全く消していないから。

消えていない理由は、その母父がアンブライドルドという特異なミスプロ系であるからなのだが、万能性を補強する要素とはなりえない、行けるだけ行きたいタピットは、ボールドルーラー系の継承者なのだから、当然スピード優先。

今回こそ500kgを切っていたが、秋にそれを超えた時のパフォーマンスが、アーモンドアイその他置き去りの安田記念ほどではないと仮定した時、微増でも遥かに前走以上のパフォーマンスが可能な仕上がりすぎ状態を誇ったパドックからも、ガッチリしすぎず、牝馬らしいフォルムを保った、母タピッツフライが芝で結果を出した特異な牝馬だったことでも、血統と自身の身体的特徴が合致して、こうしたパフォーマンスが可能になったものと思われる。

牝系の良さを引き出すディープインパクトは、シアトルスルー系特有の危ない性質を内包しつつ、両者の得意ゾーンであるワンターンでのスピード勝負を最高の舞台とするようにして、決定力のあるスピード優先のマイラー型として大成させることに成功した。

その全てに恵まれたグランアレグリアは、より成長を遂げたことで、欧米の主要競走連勝馬でも行われる距離延長キャンペーンに、前走は挑戦。

全てがここでは整わなかったから、それがダメならば、今度は仕切り直しを…。

筆者はそこに賭けたのだが、その辺りのみがボールドルーラー的なノーカウントができる性質なのだろう。

ディープインパクトとタピットという大種牡馬同士の組み合わせで、普通はうまくいかないケースも多いのだが、邪魔なテーストを合わせて持つような個性派の種牡馬が見られないことで、セクレタリアト・ニジンスキーというスーパー三冠クロス併発のタピッツフライの激烈な性質は、我慢の程度をコンディションに求めたことで、体質面の強化と共にコントロール可能となったのであろう。

あの末脚は、ディープでもマイル戦では難しい類のパフォーマンスだが、アーモンドアイ同様、豊かなスピード能力を自在に発揮できる精神状態にあれば、枯れる必然性はないのかもしれない。

直線まで待ったのは、きっと出が悪かったからに他ならないが、先週以上に、企みを凝らしたわけではないルメール騎手は、ただ、無駄なアシストをしないように、事前の芝の競馬で様々な想定をした中で、待てば外に行くしかないけど、内へ押し込められるよりはずっといいという馬場質を読み切り、丁寧に乗った方がグランアレグリアは気分よく走れることを主眼とするような、隠れたアシストをしたのかもしれないと思った。

何もしないことは勇気がいるが、何もできなくなるよりはいい。

アーモンドアイとその前のサトノダイヤモンドで、戦う中で学ぶべき最強の定義というものを、確実性に求めたルメール騎手には、やんちゃな性質を秘めるグランアレグリアのようなタイプの方が、やることが決まってくるので乗りやすいのだろう。

あれほどの走りができるのに、今日はなぜ…。

アーモンドアイにはそういうことはあったが、その可能性は最初から見えているグランアレグリアに、敗戦の必然はいつも当然の何かなのである。

今回はそれがなかっただけだ。

惜しいランブリングアレーというか、不良馬場と夏から重賞などを使われ、どんどん心身の強化に成功したことをG1で確かめられたことは、晩成型歓迎の友道調教師には嬉しい誤算だったろう。

密かに送り込んだディープの違う方の管理馬は、デゼルが使い詰めもあり、少々心身ともギリギリの印象があったが、こちらは使い分け効果の妙がしっかりと結果に結びついた。

マイルのこれまでの最高タイムは、2歳時に今年復活したラヴズオンリーユーに敗れたデビュー直後の1勝クラスでの、1:33.9であった。

マイル戦は何度か使ったが、今回は1:31.7である。

自分で叩き出したとまでは言えないが、ターコイズS以外はいつも健闘する総合力で誇れるG1連対実績となったことは間違いない。

エリザベス女王杯の方がもっと走りやすいだろうが、今度は阪神の壁を打ち破らねばならない。

上手に仕上げていくのみだ。

内からマジックキャッスルが、ランブリングアレー同様、よく粘った追い上げで上位につけたが、全く歯が立たなかったのが、レシステンシアだった。

出来も完璧ではないだろうし、キープしているとはいえ、返し馬の走りを見て、かなりのピッチ走法により変化していった先行型の切ない末路が、やはり待っていたということか。

何かと邪魔になりやすい、強気の先行こそ正義と考えるスマイルカナに、逃げるという芸風をここでは変えられなかったクリスティといった同期の面々が、揉まれて最初から圏外の絶好調だったはずのマルターズディオサ同様、何だかチグハグな展開を序盤から作って行って、それに突き合わされた格好。

仕方ない。気持ちよく行けないなら残り目もないし、うまく抑えるという手段しか武豊騎手には残されていなかった。

脆くも敗れたというより、挑戦を続けた末のもうひと絞りを期待できるようなシチュエーションではなかったのである。

勝ったグランアレグリアとは、約1秒差。

もっと緩い流れを自ら作ったマイルチャンピオンシップより広がった上に、パフォーマンスもこちらの方がダウンした印象。

明暗くっきりだったが、もう、挑戦者として戦えないような立場になりつつあって、本当の得意条件が狭まっていく段階で、来年はともかく、この秋のマイル参戦は慎重に行わねばならない。

その前にスプリントの適鞍があり、また暮れにもいい条件が日本と香港にもある。

長期展望で、この敗戦がいい刺激になればと思うしかない。

何だか、悲しいけど頑張るしかない北村友一騎手のように、今が一番我慢の時なのかもしれない。

感傷的になりすぎてはいけないが、それはグランアレグリアも通った道。

あの阪急杯がある。誰も衰えたなどとは思っていない。