2022年ヴィクトリアマイルの予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り
目次
ヴィクトリアマイルの予想と出走予定馬の最終追い切り評価を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
レース名 | 第17回 ヴィクトリアマイル(G1) |
グレード | 重賞(G1) |
日程 | 2022年5月15日(日) |
発走時間 | 15時40分 |
開催場所 | 東京競馬場 |
距離 | 芝1,600m |
コース | 右回り |
賞金 | 1億3,000万円 |
レコードタイム | - |
2022年ヴィクトリアマイル予想 - 予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
ヴィクトリアマイル2022の予想オッズと登録馬
枠 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | デアリングタクト | 松山 弘平 | 牝5 | 55.0 | 5.5 | 4 | 栗東・CW・良(松山) 6F 84.1-68.1-52.8-37.1-11.2(馬なり) | 栗東・坂路・良(松山) 800m 55.4-40.0-25.7-12.6(馬なり) |
1 | 2 | ソングライン | 池添 謙一 | 牝4 | 55.0 | 4.8 | 3 | 美浦・南W・良(池添) 5F 68.3-52.8-37.5-11.3(馬なり) | 美浦・南W・良(津村) 5F 69.1-53.6-38.5-11.6(馬なり) |
2 | 3 | メイショウミモザ | 鮫島 克駿 | 牝5 | 55.0 | 69.2 | 13 | 栗東・CW・良(鮫島駿) 6F 82.5-65.9-50.6-35.4-11.1(一杯) | 栗東・CW・良(鮫島駿) 6F 82.5-65.9-50.6-35.4-11.1(一杯) |
2 | 4 | マジックキャッスル | 戸崎 圭太 | 牝5 | 55.0 | 27.6 | 8 | 美浦・南W・良(助手) 6F 83.6-66.8-51.4-37.3-12.0(直強め) | 美浦・南W・良(戸崎) 5F 67.5-52.6-38.1-11.8(馬なり) |
3 | 5 | ソダシ | 吉田 隼人 | 牝4 | 55.0 | 4.5 | 2 | 栗東・CW・良(吉田隼) 6F 84.2-67.3-51.7-36.3-10.9(強め) | 栗東・坂路・良(吉田隼) 800m 54.1-38.8-25.1-12.3(馬なり) |
3 | 6 | ディヴィーナ | 武 豊 | 牝4 | 55.0 | 55.3 | 12 | 栗東・CW・良(武豊) 6F 77.5-62.5-48.8-35.7-11.5(強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.3-38.9-25.0-12.3(馬なり) |
4 | 7 | レシステンシア | 横山 武史 | 牝5 | 55.0 | 18.5 | 6 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 50.7-37.1-24.6-12.5(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 51.2-36.8-24.2-12.0(一杯) |
4 | 8 | クリノプレミアム | 松岡 正海 | 牝5 | 55.0 | 77.6 | 15 | - | 美浦・南W・良(助手) 6F 82.8-65.8-51.7-37.9-12.0(馬なり) |
5 | 9 | アブレイズ | 菅原 明良 | 牝5 | 55.0 | 191.2 | 17 | - | 栗東・坂路・良(助手) 800m 51.5-37.6-25.0-12.4(馬なり) |
5 | 10 | ローザノワール | 国分 恭介 | 牝6 | 55.0 | 279.2 | 18 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.2-38.0-24.5-12.1(強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.9-38.8-24.9-12.1(末強め) |
6 | 11 | ファインルージュ | クリストフ・ルメール | 牝4 | 55.0 | 5.9 | 5 | 美浦・南W・良(助手) 6F 84.6-69.4-53.9-38.8-11.7(直強め) | 美浦・南W・良(助手) 5F 69.5-54.2-39.3-11.6(馬なり) |
6 | 12 | ミスニューヨーク | ミルコ・デムーロ | 牝5 | 55.0 | 55.0 | 11 | 栗東・CW・良(デムーロ) 6F 83.6-67.5-52.3-36.7-11.0(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.6-38.6-24.5-12.5(馬なり) |
7 | 13 | レイパパレ | 川田 将雅 | 牝5 | 55.0 | 3.6 | 1 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.4-40.2-25.9-12.5(末一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 52.9-39.0-25.4-12.6(一杯) |
7 | 14 | アカイイト | 幸 英明 | 牝5 | 55.0 | 35.8 | 9 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.4-38.3-25.1-12.6(強め) | 栗東・坂路・良(幸) 800m 51.9-37.5-24.5-12.4(一杯) |
7 | 15 | アンドヴァラナウト | 福永 祐一 | 牝4 | 55.0 | 21.6 | 7 | 栗東・坂路・良(助手) 800m 53.2-37.9-24.1-12.1(末強め) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 56.1-40.2-25.8-12.5(馬なり) |
8 | 16 | デゼル | 藤岡 康太 | 牝5 | 55.0 | 69.8 | 14 | 栗東・CW・良(藤岡康) 7F 96.6-65.4-51.1-36.6-11.6(稍一杯) | 栗東・CW・良(助手) 4F 51.7-37.1-11.9(馬なり) |
8 | 17 | シャドウディーヴァ | 坂井 瑠星 | 牝6 | 55.0 | 81.2 | 16 | 美浦・坂路・良(坂井瑠) 800m 52.8-38.4-24.7-11.8(強め) | 美浦・坂路・良(助手) 800m 52.8-38.6-25.0-12.4(馬なり) |
8 | 18 | テルツェット | ダミアン・レーン | 牝5 | 55.0 | 40.6 | 10 | 美浦・南W・良(高野和) 6F 81.1-64.8-50.5-36.7-11.1(一杯) | 美浦・南W・良(レーン) 5F 72.5-56.8-41.6-13.6(馬なり) |
人気 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 5回 | 4回 | 0回 | 7回 | 31.3% | 56.3% | 56.3% |
2番人気 | 2回 | 0回 | 1回 | 13回 | 12.5% | 12.5% | 18.8% |
3番人気 | 0回 | 2回 | 2回 | 12回 | 0% | 12.5% | 25% |
4番人気 | 1回 | 2回 | 2回 | 11回 | 6.3% | 18.8% | 31.3% |
5番人気 | 3回 | 0回 | 3回 | 10回 | 18.8% | 18.8% | 37.5% |
6~9番人気 | 3回 | 3回 | 5回 | 53回 | 4.7% | 9.4% | 17.2% |
10番人気以下 | 2回 | 5回 | 3回 | 130回 | 1.4% | 5% | 7.1% |
脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
逃げ馬 | 1回 | 1回 | 2回 | 12回 | 6.3% | 12.5% | 25% |
先行馬 | 4回 | 5回 | 4回 | 47回 | 6.7% | 15% | 21.7% |
差し馬 | 11回 | 8回 | 7回 | 99回 | 8.8% | 15.2% | 20.8% |
追い込み馬 | 0回 | 2回 | 3回 | 78回 | 0% | 2.4% | 6% |
枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1枠 | 1回 | 2回 | 6回 | 23回 | 3.1% | 9.4% | 28.1% |
2枠 | 3回 | 2回 | 3回 | 24回 | 9.4% | 15.6% | 25% |
3枠 | 5回 | 0回 | 1回 | 26回 | 15.6% | 15.6% | 18.8% |
4枠 | 0回 | 3回 | 0回 | 28回 | 0% | 9.7% | 9.7% |
5枠 | 0回 | 4回 | 1回 | 26回 | 0% | 12.9% | 16.1% |
6枠 | 4回 | 0回 | 0回 | 28回 | 12.5% | 12.5% | 12.5% |
7枠 | 2回 | 1回 | 2回 | 41回 | 4.3% | 6.5% | 10.9% |
8枠 | 1回 | 4回 | 3回 | 40回 | 2.1% | 10.4% | 16.7% |
種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ディープインパクト | 67回 | 40回 | 46回 | 277回 | 15.6% | 24.9% | 35.6% |
ロードカナロア | 20回 | 23回 | 19回 | 151回 | 9.4% | 20.2% | 29.1% |
ハーツクライ | 18回 | 18回 | 25回 | 112回 | 10.4% | 20.8% | 35.3% |
キングカメハメハ | 17回 | 16回 | 14回 | 86回 | 12.8% | 24.8% | 35.3% |
ルーラーシップ | 17回 | 14回 | 11回 | 107回 | 11.4% | 20.8% | 28.2% |
ダイワメジャー | 13回 | 9回 | 7回 | 116回 | 9% | 15.2% | 20% |
エピファネイア | 11回 | 7回 | 8回 | 63回 | 12.4% | 20.2% | 29.2% |
ディープブリランテ | 8回 | 9回 | 7回 | 92回 | 6.9% | 14.7% | 20.7% |
ハービンジャー | 8回 | 5回 | 6回 | 76回 | 8.4% | 13.7% | 20% |
スクリーンヒーロー | 7回 | 12回 | 12回 | 79回 | 6.4% | 17.3% | 28.2% |
2022年ヴィクトリアマイル予想 - 過去10年のデータ傾向
ヴィクトリアマイルでの好走実績のあるなしで、阪神牝馬S組の扱いは大いに差が出てくる
ここに出てくる4歳馬に、このレースの既走歴があるわけがないので、当然、古牝馬の扱いについてこのポイントが肝となってくる、という意図でこちらのデータを引き合いに出すことにした。
早い話が、ヴィルシーナを筆頭にその前後のホエールキャプチャ、ストレイトガール、ジュールポレールまでの歴代優勝馬について、5歳以上の馬齢となった際、前走の内容は一切関係なく、本番で巻き返したリピーターは実に多い、と言いたいわけだ。
今年は妙な展開になってしまい、本当はマイルが合っていたのであろう、メイショウミモザの快走に皆が困惑を隠せなかった阪神牝馬Sであるが、昨年こちらで好走のマジックキャッスルは、今年は5歳であり、一応はクイーンCでも秋華賞でも上々の結果を残していた世代のトップグループに属する一頭。
タイトルホルダーが多数、それも初共演のオンパレードでわけわかめ状態の組み合わせであるからこそ、押さえるべき一頭に、王道路線のリピーター候補の名を挙げておく。
国枝栄調教師は、牝馬G1に何度なく勝ち馬を送り込んできたが、三冠馬<アパパネ、アーモンドアイいずれも強敵を撃破して快勝>だけしか好走馬を出していなかったところで、この三冠阻止失敗のマジックキャッスルが登場してきて、昨年は3着。
使っているレースや間隔がほとんど同じで、まるでG1を勝った馬のようなローテではあるが、その辺りの引き出しの多さからも、オッズは昨年以上につくはずで狙いとすれば、決して筋悪の類にはならないだろう。
大阪杯に挑むほどの牝馬であれば、ましてやG1勝ち馬であったなら、ここで崩れる理由は単純に調子が悪いからとなる
速い馬を送り込めるかどうかは、その馬自身がどういう才能を秘めていたのか、ここで確認してみるまで分からないというのが、本当のところ。
ただし、G2時代からずっと、4歳時のヴィルシーナをはじめ、メイショウマンボや昨年のグランアレグリア、結局ここがラストランとなったショウナンパンドラなど、そのラインナップは豪華にすぎるほど。
古馬実績となったものをここで作った面々もいれば、単純に叩き台を経た実績馬という馬もいるが、外れがまずいないとなれば、古馬のマイル重賞未経験のレイパパレでも、さすがに侮れないとなる。
無論、リズムが大事な繊細過ぎる面もあるレイパパレのこと。
負けて強しであると、むしろ不安なほどであるが、実力は間違いない。
左回りでは新潟1800を1:45.3、金鯱賞を1:57.6で乗り切っている彼女は、案外、高速のA級左回り重賞にフィットする可能性がある。
そこまでの適性はないが、金鯱賞の中身があり、展開的に出番のなかった前走というアカイイトにも、ある程度の目配りが必要か。
配合的には、本命に推したマジックキャッスルや復活に期待のデアリングタクトらと、本質的な差異を生じる要素まで持っていないのだから、前向きさがあるなら、十分に通用するだろう。
渋ると怖いタイプにも思う。
道悪だと、普段より前に行けるという実績もすでにある。
強烈な個性派を送り込む高松宮記念組は、非連対馬の方が狙い目
ストレイトガールが2年続けて、前走が高松宮記念であり、昨年のレシステンシアは消えたものの、もう一頭、回ってきて参加賞をもらったついでに前年覇者として意地を見せたノームコアも含まれる。
いかにも、古馬になってから専門家の本領発揮とした晩成型ばかりで、上手に前進気勢をコントロールされたときに改装のパターンも似ていて、単純にこの牝馬限定のマイルに適性を持ったスペシャリストでもあった。
他の距離のタイトルもあるが、リピーターということでも、ヴィクトリアマイルに適性があったことは明らか。
溜めてもほとんど意味がない感じのレシステンシアに、溜めの具合がほぼ好走の可能性のすべてとも言えるシャインガーネットとでは、既走歴のある前者はストレイトガールと似た性質が秘められていそうな感じもする一方、古馬重賞勝ちのない後者は、初の出走という魅力がある。
今年は高松宮記念で連対できなかったレシステンシアが、3着くらいまでなら来るイメージは枠が、複穴でちょこっと押さえたい感じのシャインガーネットが左回り巧者である一方で、やはり極端な形になりやすいゲートの不安などもあるから、ワイドの相手くらいの扱いに止めたい。
ストレイトガールもノームコアも、高松宮記念の結果で威張れるような立場にあったわけではないから、マークが薄まるような支持のレシステンシアという位置づけが、好走の要因ともつながってくるはずだ。
強い牝馬は最初の出走機会で結果を出す
メイショウマンボとカワカミプリンセスの悪いところが合わさったような臨戦の流れで、復帰初戦を迎えるということでは、初の惨敗を喫した後、ドバイカラ出張<コロナ禍による開催中止>を経たアーモンドアイが涼しい顔で完勝の流れになるということはないだろうデアリングタクト。
カワカミプリンセスも1位入線のエリザベス女王杯からの休み明けで、5歳になったメイショウマンボには、もう戦う意欲のようなものが失われてしまったような感じで、互いに直線に入る時点で、もう圏外というポジションであったことは記憶に新しい。
ただし、理由が怪我というパターンで、クラシックウイナーが登場してくるというのも案外珍しく、最近は5歳まで走るのが当たり前の牝馬三冠馬のパターンからして、かの有名な「菊の季節にサクラ」のサクラスターオー<1987年皐月賞・菊花賞二冠も、まさかの皐月賞→菊花賞の直行ローテで達成>などが患った脚部不安と似た例であるから、まるでダメという感じもしない。
急仕上げはむしろ騎手の方だろうという趣の松山騎手が復活し、おおむね来年のヴィクトリアマイルあたりで…、という狙い通りに近い調整は一応できたデアリングタクト陣営であるので、ほぼ確実に現状の最低ラインの出来<G1でそれなりに戦える態勢という意>までは持ってきたはずだ。
無論、再度のアクシデントや桜花賞の日のような強烈な道悪では苦しいわけだが、秋華賞くらいの底力勝負歓迎の雨馬場くらいなら、同日準メインを制したレイパパレも出てくるのだから、こなせないという理屈もちょっと合わない。
普段通りの高速馬場なら、時計勝負への対応力で大いに下の4歳世代に見劣るが、自信を持って臨んだだろう2020年のジャパンCのタフな経験と、いやこれは、例年なら勝っていただろうという大逆転3着もあって、以降の不発は明らかな心身の不調であるから、一番消さない方がいい人気馬が彼女であるような気がする。
三冠馬は特に、出てくれば好勝負の結果を出し続けている。
前二者のように、鮮やかに勝利するまではさすがにめでたすぎる想像となってくるが、それもなくはないと思わせる世紀のJCにおける3着の実績は、デアリングタクトの最少キャリア三冠の偉業を上回る結果にも思える。
アパパネも古馬初戦は、エリザベス女王杯の3着。
なくはない、でいいと思う。
2022年ヴィクトリアマイル予想 - 出走予定馬の血統/成績/タイム
唯一無二の牝馬トレーナー・国枝栄調教師の慧眼を信じ、昨年を下回る同ローテの成績に勝機ありと見たいマジックキャッスル。
マジックキャッスルの血統
母ソーマジックは、大波乱となった2008年桜花賞の3着馬。
勝ったレジネッタも2着のエフティマイアも、直後のオークスでタフ馬場をこなして連続好走していたが、それらより高評価の3番人気であったソーマジックだけは着外敗れ、降級後の旧1000万条件で、娘の主戦となる戸崎騎手を迎えて制した特別戦が唯一の勝ち星となった。
半兄にはステイゴールド産駒のソーグリッタリング、その3/4同血であるソーヴァリアントが昨年のチャレンジCで超楽勝なのだから、それらよりはエース級の活躍であるマジックキャッスルながら、このファミリーは実に明るい雰囲気にあると言えよう。
しかし、その本質部分では意外なほど単純な血脈により、父ディープインパクトでこそ魅力が最も引き出される傾向を秘める。
血統表を見慣れた人ならすぐに気づくだろうが、5代母Beau Darlingというのは、あの牝馬三冠&JC連覇のジェンティルドンナの4代母と共通。
やけに三冠に縁のある馬であると思ったら、こういう繋がりがあるのだった。
秋華賞の時は、すっかりそんなこと忘れていたのだが…。
ジェンティルドンナが少し遠い親戚にいるということは、その全姉はこのレース2着のドナウブルーであり、従弟がダービーでまさに一世一代の大駆けを見せて浜中俊のヴェロックスに賭ける思い<最初の主戦級は浜中騎手だった>を分散させ、夢を叶えてくれたあのロジャーバローズがいるということになる。
ただ、マジックキャッスルとは違い、春にピークが来ていたようなところのあるソーマジックの性質は、よく走る馬ほど本来は春向きのようで、その直仔だけは例外的に秋の方が何となくいい流れに乗れているようなところがあった。
しかし、ソーヴァリアントもG1馬だけが上位を占めることになったディープインパクト記念の4着であり、マジックキャッスルも3歳時はクイーンCで2着、細化傾向を夏の内に抑え込み、叩き一変の秋華賞でデアリングタクトの三冠に抵抗して2着であり、昨年のこのレース3着。
勝てないまでも…、の好記録に期待であれば、最後は適鞍と得意な展開だけこなして好走したジェンティルドンナのように、フィット感のある条件でこそ狙いたい系統なのかもしれない。
昨年2着のランブリングアレーとは全く同じディープ×シンボリクリスエスという組み合わせ。
メイショウマンボも分類上は、同じ系統同士の配合。
アカイイトももっと血が偏るソングラインも、適性は違うようで、意外と似通っていたりするのかもしれない。
そういう意味では、シンボリクリスエス×サンデー系のエピファネイアの産駒も買わないといけないだろうから…、という昨年の結果にのみ囚われた買い目で、二番煎じを目論む小者の筆者なのである。
このヴィクトリアマイル。
牝馬にとっては特殊な条件であるため、3歳時のクイーンCや2歳時のサウジアラビアロイヤルC、アルテミスSなどを使われない限り、あとは、NHKマイルCかあまた存在するというほどは多くない古馬のマイル重賞<主にG1>のいずれかしか、厳しい東京の1600戦を経験できないという死角が存在し、後発の競走<2006年創設、厳密には、かつて行われたエリザベス女王杯の前身・ビクトリアCの中身を総入れ替えしてリニューアル>だからなのか、どこからか無理に引っ張って来た前哨戦との組み合わせの悪さもあり、まず、前走成績が問われないという特徴を持っている。
ただし、そういう側面があるからなのか、極めてリピーター率は高く、春の天皇賞で昨年今年と連続2着のディープボンド<その前例は連覇したフィエールマン>が出たように、好走馬がまた1年経って、しっかりと力を示すようなことが毎度のように起こってきた。
著名な例が、このレース最初の連覇達成者となったヴィルシーナであり、悲願の4歳時でのG1初制覇から、驚きの6戦連続掲示板外から、1番人気になる要素もない5歳挑戦時に、伏兵として同じ先行策をとって、前年二冠のメイショウマンボ、翌年以降に連覇のストレイトガールらを抑え込んでみせたのだから、その衝撃は大きかった。
それでも、08年と翌年連続連対のウオッカや、続年に好走のブエナビスタなど、牡牝の壁などそもそも存在していないような時代の牽引者たちが、当然の好走を見せるだけでなく、狭い範囲で能力全開のホエールキャプチャ、前出ストレイトガール、稍重の女・ジュールポレール<半兄のサダムパテックもほどほどに湿った馬場で強かった>、回りで守備範囲が一変のノームコアなど、使い方を知った陣営がスペシャリストタイプを次々に製造しているような傾向が、近年のリピーター率向上の要因として考えられる。
ならば、昨年出走の最先着馬・マジックキャッスルに注目が集まるわけだが…。
昨年はグランアレグリア、今年は強烈なラインナップで、昨年の単勝15倍弱・5番人気の評価よりは低下することだけは間違いない。
鞍上も戸崎騎手でほぼ決まりであり、昨年と同じく、乗り替わりでの手戻り。
2022年ヴィクトリアマイル予想 - レース展開と最終予想
変な特性として、マジックキャッスルは秋季以降の体重増が顕著になるのに、春になると急に元通りの体重に戻るというおかしな面が挙げられるわけだが、ここは国枝流と理解したい。
増えるものは仕方ないし、それを戻すのがトップシーズンに走らせたいオープン馬へ課すべき条件としたとき、昨年3着好走時の馬体重は、秋華賞で再評価を受ける2着に入った時とわずかに2kg分増えただけだったのだ。
小柄で細身のディープ牝駒ながら、内面は母父シンボリクリスエスの影響があって、なかなかに渋い性質。
どことなく、桜花賞を走った時のようなガッツの必要な重馬場より、テクニックひとつでこなしきれる秋華賞のような回復途中の稍重馬場であると、その長所は大いに活かされるだろう。
その日になってみないと何とも言えないが、スイートピーSのような雨馬場より、同日天皇賞のような満遍なく水分が行き渡り、徐々に回復しているような条件であれば、その実績を持っているだけに、デアリングタクトやレイパパレも経験しているわけだから、しっかりと押えていきたい。
肝の部分で大事なのが、東京の1600実績。
ホエールキャプチャはクイーンCも東京新聞杯も勝っているが、みんながみんなそんなに適性の偏りを見せていたわけではない。
歴代、クイーンC優勝の4歳牝馬と括れば、第2回のコイウタ激走から、実に3頭も勝ち馬が登場してきたのだが、ここ10年はヴィルシーナが最後なのだから、いないとできる。
アルテミスS勝ちのデンコウアンジュが復活した2着という例もあるが、意外と中距離実績の方が目立った、最初は桜花賞に合わせてマイルを使われていたような馬…、というところが狙いのポイントになってきそうだ。
ファンタジーSとクイーンCを、あまり作りこめない秋冬シーズンに連続好走し、一昨年の秋華賞から年明けの愛知杯連続好走時も増減幅を大きかったが、ヴィクトリアマイルを過ぎて、得意な部類の雨の降るクイーンSまで5連続好走。
秋から徐々に作り始めて、春に結果を出すための準備を万全に行う。
ヴィクトリアマイルは当然、年に一度だけ。
こうした季節馬のようなタイプにぴったり合うはずのレースだからこそ、ソダシやソングラインなど高速馬場への適応力が支持を集めそうなチャンピオン級よりも、ツボにはまるとしっかり走るマジックキャッスルのような馬を狙っていきたいところだ。
課題はスタートで、ここ数走はそれが出ていたという敗戦ではなく、末脚を引き出すための狙いが全部ハマらなかった印象。
基本的に牝馬限定戦特有の序盤ゆっくり流れる展開は、差し脚比べにフィットするマジックキャッスルには合わない。
初重賞制覇の愛知杯も、ジャックドールもびっくりという、1000M通過57.9秒のおかしな展開からの追い込み馬総登場の流れであった。
自在に膨らませ、また程よいところに落とし込む春、秋の流れを作る国枝栄調教師の手腕が、また絶賛されるG1になりそうな予感がある。
それは来週のオークスも同じかもしれない。