2023年ヴィクトリアマイル【結果】|レース後コメント/動画/払い戻し/回顧

【レース結果速報】1着ソングライン(7.6倍)2着ソダシ(4.6倍)3着スターズオンアース(2.5倍)

レース名第18回ヴィクトリアマイル
日程2023年5月14日
優勝馬ソングライン
優勝騎手戸崎 圭太
勝ちタイム1:32.2
馬場
3連単配当12,830円

2023年ヴィクトリアマイル - レース結果・配当・払い戻し・オッズ

着順馬番馬名タイム着差
16ソングライン1:32.2-
216ソダシ1:32.2アタマ
32スターズオンアース1:32.33/4
413ディヴィーナ1:32.41
53サウンドビバーチェ1:32.71.3/4
単勝6760円
複勝2120円
複勝6200円
複勝16170円
枠連3-81,320円
ワイド2-6390円
ワイド2-16340円
ワイド6-16640円
馬連6-161,960円
馬単6-164,170円
3連複2-6-161,720円
3連単6-16-212,830円

2023年ヴィクトリアマイル - レース後コメント(騎手/厩舎)

「人気馬が前にいてそれを見る形で行き、しっかり反応して伸びてくれました。スタートは気をつけていて上手く決まりましたが思ったよりも位置取りが後ろになりました。馬場の外を走りたかったのですが、内に入りこんでしまいました。馬は馬場が緩くてもきちんと走ってくれました。この馬場をこなしているようで手応えも十分あったので大丈夫だろうと思い、馬を信じて内を選択しました。最後は出てくれたと思いました。私はこれでGI・10勝目となりました。もっと早くに達成できればよかったのですがコツコツと頑張って11勝目を目指したいと思います。ソングラインは安田記念を勝って能力は高いと見ていました。勝てたことをすごく嬉しく思いますし、今後もソングラインに期待したいと思います」

※優勝した戸崎圭太騎手のコメント(ソングライン)

2023年ヴィクトリアマイル - レース結果動画(YouTube)

2023年ヴィクトリアマイル - 回顧

豪華メンバーというか、ソダシとスターズオンアースの桜花賞馬対決に注目が集まった一戦であったが、やけに降り出しが遅いと思ったら、何の因果なのか、栗東Sが発走したレース10分前には、本降りといった趣。
経験値よりもスケール感、総合力のマイルを勝負運含め、勝ち切るための要素とするには、上滑り確実の馬場状態は不安であったが、あわやのディヴィーナ覚醒の瞬間を目撃するのかと皆がソワソワとしたところ、当然逃げると思われた、スローのマイル戦は好ましかざる条件と考えるだろうベテランの横山典弘騎手のロータスランドが、逃げ込みを図る程度の展開しか作れなかったが、読みが鋭かったレーン騎手とルメール騎手は、早めの勝つ競馬を選択。

破綻にいたる過程ではなかったと皆が確信した瞬間、やけに手応えがいいサンデーレーシングの勝負服が追っ手に一頭いることに、本命党は恐れ慄いたことだろう。
案の定、それがソングラインと判明した段階で、勝負がついた印象。
復活のソングラインだけでなく、MVJの定位置を回復した戸崎圭太騎手にとっても、実に縁起のいいこのヴィクトリアマイルで久々のG1V。
ここに向けて、周到に準備を進めた林徹調教師と、生産牧場であるノーザンファーム関係者との連携がきっちり取れていることが、パドック気配からしても、目立って復調のG1馬であることを示していた実力者には、近走のテーマである大いなる立ち遅れ問題の解消は、勝利に最も近い回答であったということであろう。

ソダシとは僅差だったが、手応えからして、相手を捉える型が合うソングラインの決め手が全開ならば、その手の勝負は好まないタフネスアクトレスのソダシは、強敵ではなかった。
奇しくも、昨年とは馬場質は大きく異なるが、勝った時のソダシは、上がり3Fが33.4秒だったものが、今年は0.2秒、休み明けで仕掛けていっての正攻法は本来の型とはいえ、わずかに見劣る直線の末脚。
対し、勝負所で最も気を付けないといけない場面で、穴ぼこにハマったかのようの躓いた末の5着だったソングラインは、昨年と同じ33.2秒で上がった。

展開も結果的には、昨年と微差であり、勝ちタイムは気持ち速いだけの1:32.2。
昨年の2、4番人気馬が、順当に走っただけであった、ともできる。

だからこそ、ナイスファイトの後に、やや物足りない3着にも見えた、上がり33.6秒がソダシと全く同じだったスターズオンアースが、何とも扱いづらい結果に終わったとなってしまう。
適性は前2者に見劣るとしつつ、上がり勝負はむしろ、こちらに分があると思えたが、上がりが極端に速いわけではな、高速マイルのヴィクトリアマイルであるから、期待以上には走らなかったとするしかない。

ただ、それは皆、彼女に対して色々と求め過ぎのように思う。
準三冠級の活躍であった昨シーズンも、桜花賞前はフラフラ走っていて、桜花賞もタイトなコースを好き好んで選んだ川田式ではなかったか、結果的に、才能開花のアシストにはなった。
同時に、オークスの独走で中距離型を証明した直後、よもや、父ドゥラメンテと同じ故障を発症。

ぶっつけといっても、じっとしていないといけない時期があるから、若馬にはストレスが掛かっていたはず。
それでも、ギリギリの精神状態にも拘らず、ここ2走、これもおかしな偶然だが、勝ったソングラインと同じように、器用に立ち回れる武器を全く駆使できないほどに置かれてしまったという共通の敗因を、今回は叩いた効果もあったのだろうが、しっかりと死角として出さなかったのだから、女王の品格というところで、無様な結果ではない。

ただし、ソダシにインから交わしにかかり、少しでも馬場のいいところでスパート力の差を見せつけようとしたルメール騎手のアシストに対し、スターズオンアース自身が、体を使いこなせないまま、いくらか伸びが止まったようにも映った。
反動はあるだろうが、たとえ、宝塚記念を展望するとしても、今の彼女に、マイルのスピード勝負で確かな結果を求めるべきではなかったのかもしれない。
スピード優先の配合などではない、フランスで活躍したルメール騎手も絶賛のスタセリタの孫。
成長力が怪しげだった叔母にあたるソウルスターリングよりは、よっぽど伸びしろがある。
安田記念でハイペースであれば、話は変わったのだろうが、今の彼女が目指すべき舞台ではない。
レース間隔と出走したそのレースそのものが、体調が悪くなさそうなのに、何となく、特別な雰囲気までは醸し出せなかった普通の感じから、ミスマッチの連続だった印象は拭えない。
脚元にも、気性的なわずか死角も含め、牝馬の扱いの難しさが、よく表れた結果であろう。
あのアーモンドアイも、古馬になって連勝は最後の2つだけである。

ディヴィーナは突っ込んできたというか、昨年は窮屈に走らされた普通の武豊騎手らしい丁寧なアプローチではなく、大胆不敵、かつポカも多めのデムーロ式がフィットしたのだろう。
不振になりかけていた近走とは一変であった。
不屈の連覇・ヴィルシーナの血筋が、いずれまた、このレースを盛り上げてくれるはずだ。
個人馬主ながら、佐々木オーナーはこの馬の血統を、とても大事に扱うから、来年の出走はないかもしれないが、今後の結果如何であろう。
もう、貧弱な名血ではない。

以下は置かれてしまい、バンビちゃんではなくなったが、繊細さは相変わらずだったナミュールの、何とも儚げな埋没は残念であったが、揉まれたとしても終いを伸ばせる、一族のスター・オグリキャップのようなど根性の著名馬ではない。
スターズオンアースやスタニングローズとの差は、秋華賞での結果から、大差ないことは理解できたが、馬格が大きくなったところで、なかなか内面をパワーアップとはいかないのが、これも牝馬の難しいところだろう。
根性はもともと、走る牝馬ほど牡馬を凌駕するとされるが、それが備わっていないタイプだと、本質はあまり変わらないことも多い。
早熟であるかないかは、この辺り、あまり重要ではない。

同じ4歳では、高松宮記念を勝ちそびれたナムラクレアも、異様な雰囲気の臨戦態勢で、とんでもない脚力を披露するのではと、大きな期待も集めたが、せっかく、浜中騎手が丁寧に馬を作ってきて、スプリントで柔軟な対応のできる馬に育て来たばかり。
スローの読み以上に、妙な先行残りの展開に、久々マイルで対応はできない。
このレースを連覇したもう一頭、スプリンターズSも勝っているストレイトガールが連覇したのは、牝馬でなくとも異例である6、7歳時。
ちなみに、本格化の段階に入った5歳時も、ヴィルシーナのド根性に驚愕しつつ、ギクシャクとした直線のコース取りで、当時騎乗した岩田康誠騎手も口惜しがった3着がある。
枯れることが、ことスプリンターであるなら悪いとは限らず、ロードカナロアが安田記念を5歳時に制したように、柔軟な対応力と共に、競走馬の健康を維持する意味で、挑戦的ながら、同じレースばかりで飽きさせないことも、ストレス軽減には役に立つ面はあるから、本音は、秋のローテーションを万全に組み立てるためのステップに過ぎなかったのだろうが、前に行けるようになった時、もっと強くなる可能性がある。

血が偏り過ぎているナムラクレアは、あとちょっとのところで、粗のある面を露見することはあるが、気持ちの強さはここ2走で十二分に見せている。
スプリンターズSだって、極端な内有利の馬場状態で、誰よりも外から伸びてきた5着。
様々な経験をした上で、この日、マッチレースをしたソダシもソングラインも、直前までは何をやっているのだと、後ろ指差されるような負け方で、ファンを残念がらせていたが、こうして復活である。
ダービージョッキーのプライドにもかけて、浜中騎手が根気強く、パンプアップに必要な扶助をしていくはずだから、頑張りすぎた後の一戦ということで、ここは大目に見てあげた方がいいのかもしれない。