皐月賞2025の予想 過去10年のデータ傾向と有利な枠/出走予定馬の最終追い切り
目次
皐月賞2025の予想と最終追い切りの予想を行っていきます。
過去結果を見ても荒れる傾向のある中、有力な登録馬の中から鉄板軸馬とされる外厩仕上げの本命馬や消去法で消すべき馬、本命をも超える可能性のある穴馬をデータ分析!
歴代勝ち馬のサインを見逃さず、予想オッズを見ながら過去配当を超える払い戻しを狙っていきましょう。
| レース名 | 第85回皐月賞 (G1) |
| グレード | 重賞(G1) |
| 日程 | 2025年4月20日(日) |
| 発走時間 | 15時40分 |
| 開催場所 | 中山競馬場 |
| 距離 | 芝2,000m |
| コース | 右回り |
| 賞金 | 2億円 |
| レコードタイム | 1:56.6 |
皐月賞2025予想-予想オッズ/出馬表(馬柱)/出走予定馬の馬体診断/想定騎手/最終追い切り評価(枠順確定)
皐月賞2025の予想オッズと登録馬
| 枠順 | 馬番 | 出走予定馬 | 騎手 | 性齢 | 斤量 | 予想オッズ | 人気 | 1週前追い切り | 最終追い切り |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | ニシノエージェント | 津村明秀 | 牡3 | 57.0 | 35.8 | 12 | 美浦・ウッド・良(津村明) 5F 65.7-50.3-35.7-11.2(G前仕掛け) | 美浦・ウッド・良(津村明) 5F 67.7-51.8-36.8-11.5(馬なり) |
| 1 | 2 | エリキング | 川田将雅 | 牡3 | 57.0 | 10.0 | 3 | 栗東・CW・良(川田将) 6F 80.9-65.1-50.6-35.8-10.9(一杯) | 栗東・坂路・良(調教師) 800m 54.6-39.8-25.6-12.7(馬なり) |
| 2 | 3 | キングスコール | 藤岡佑介 | 牡3 | 57.0 | 68.9 | 18 | 栗東・CW・良(藤岡佑) 7F 96.2-64.4-50.5-36.3-11.6(一杯) | 栗東・坂路・良(藤岡佑) 800m 53.5-38.6-25.4-12.4(末強め) |
| 2 | 4 | ジュタ | 坂井瑠星 | 牡3 | 57.0 | 65.4 | 17 | 栗東・CW・良(坂井瑠) 7F 95.5-64.7-50.4-36.3-11.0(直強め) | 栗東・坂路・良(坂井瑠) 800m 54.5-39.6-26.0-12.9(馬なり) |
| 3 | 5 | ジョバンニ | 松山弘平 | 牡3 | 57.0 | 11.0 | 4 | 栗東・CW・良(松山弘) 7F 95.9-64.5-50.1-35.8-11.6(馬なり) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.0-38.7-25.4-12.8(馬なり) |
| 3 | 6 | マスカレードボール | 横山武史 | 牡3 | 57.0 | 19.2 | 8 | 美浦・ウッド・良(横山武) 7F 99.2-67.6-52.4-37.7-11.2(G前仕掛け) | 美浦・坂路・良(嶋田純) 800m 53.1-38.6-24.8-12.2(馬なり) |
| 4 | 7 | フクノブルーレイク | 松岡正海 | 牡3 | 57.0 | 55.0 | 14 | 美浦・ウッド・良(助手) 6F 81.6-65.7-51.5-36.9-11.4(馬なり) | 美浦・ウッド・良(松岡正) 5F 66.5-51.2-36.1-10.9(直強め) |
| 4 | 8 | ジーティーアダマン | 岩田望来 | 牡3 | 57.0 | 18.1 | 7 | 栗東・CW・良(岩田望) 6F 80.5-65.5-50.5-35.8-11.1(一杯) | 栗東・CW・稍重(調教師) 6F 81.6-66.9-52.1-36.5-11.1(馬なり) |
| 5 | 9 | ピコチャンブラック | 石橋脩 | 牡3 | 57.0 | 24.3 | 9 | 美浦・ウッド・良(石橋脩) 6F 80.0-63.7-49.0-35.9-11.3(馬なり) | - |
| 5 | 10 | クロワデュノール | 北村友一 | 牡3 | 57.0 | 2.1 | 1 | 栗東・CW・良(北村友) 6F 81.1-65.7-51.8-36.4-10.9(馬なり) | 栗東・CW・稍重(北村友) 6F 84.6-68.8-53.1-37.7-11.3(馬なり) |
| 6 | 11 | ミュージアムマイル | J.モレイラ | 牡3 | 57.0 | 17.2 | 6 | 栗東・CW・良(モレイラ) 6F 80.2-65.6-50.5-35.9-11.0(稍一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.9-39.7-25.7-12.4(馬なり) |
| 6 | 12 | ドラゴンブースト | 丹内祐次 | 牡3 | 57.0 | 64.2 | 16 | 栗東・CW・良(助手) 7F 93.6-63.2-49.4-35.5-11.4(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 54.9-38.8-25.2-12.6(馬なり) |
| 7 | 13 | アロヒアリイ | 横山和生 | 牡3 | 57.0 | 34.9 | 11 | 美浦・ウッド・良(原優介) 6F 80.3-64.6-49.9-35.2-11.1(馬なり) | 美浦・坂路・良(助手) 800m 54.6-39.9-25.5-12.3(馬なり) |
| 7 | 14 | カラマティアノス | 戸崎圭太 | 牡3 | 57.0 | 24.3 | 10 | 美浦・ウッド・良(戸崎圭) 5F 66.9-51.5-36.5-11.5(G前仕掛け) | 美浦・ウッド・良(伴啓太) 6F 81.4-65.1-50.8-36.6-11.2(馬なり) |
| 7 | 15 | ヴィンセンシオ | C.ルメール | 牡3 | 57.0 | 16.8 | 5 | 美浦・ウッド・良(石神道) 5F 66.0-50.8-35.9-11.4(一杯) | 美浦・ウッド・良(ルメール) 5F 63.9-49.4-35.6-11.6(馬なり) |
| 8 | 16 | サトノシャイニング | 西村淳也 | 牡3 | 57.0 | 8.4 | 2 | 栗東・CW・良(西村淳) 6F 81.1-66.9-52.3-37.2-11.1(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 55.3-40.2-25.7-12.3(馬なり) |
| 8 | 17 | ファウストラーゼン | 杉原誠人 | 牡3 | 57.0 | 39.1 | 13 | 栗東・CW・良(杉原誠) 6F 82.4-66.3-50.7-35.4-11.0(一杯) | 栗東・坂路・良(助手) 800m 57.7-41.2-26.6-13.2(馬なり) |
| 8 | 18 | マジックサンズ | 佐々木大輔 | 牡3 | 57.0 | 63.8 | 15 | 栗東・CW・良(酒井学) 7F 97.1-65.5-50.6-35.8-11.0(末一杯) | 栗東・坂路・良(酒井学) 800m 53.4-38.8-24.9-12.2(馬なり) |
| 脚質 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 逃げ馬 | 2回 | 2回 | 1回 | 20回 | 8.0% | 16.0% | 20.0% |
| 先行馬 | 6回 | 7回 | 5回 | 54回 | 8.3% | 18.1% | 25.0% |
| 差し馬 | 11回 | 7回 | 12回 | 124回 | 7.1% | 11.7% | 19.5% |
| 追い込み馬 | 1回 | 4回 | 2回 | 94回 | 1.0% | 5.0% | 6.9% |
| 枠順 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1枠 | 3回 | 2回 | 2回 | 32回 | 7.7% | 12.8% | 17.9% |
| 2枠 | 1回 | 3回 | 2回 | 34回 | 2.5% | 10.0% | 15.0% |
| 3枠 | 2回 | 1回 | 2回 | 35回 | 5.0% | 7.5% | 12.5% |
| 4枠 | 3回 | 3回 | 3回 | 31回 | 7.5% | 15.0% | 22.5% |
| 5枠 | 0回 | 3回 | 3回 | 34回 | 0.0% | 7.5% | 15.0% |
| 6枠 | 3回 | 1回 | 4回 | 32回 | 7.5% | 10.0% | 20.0% |
| 7枠 | 5回 | 4回 | 1回 | 47回 | 8.8% | 15.8% | 17.5% |
| 8枠 | 3回 | 3回 | 3回 | 47回 | 5.4% | 10.7% | 16.1% |
| 種牡馬 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ハーツクライ | 17回 | 13回 | 12回 | 115回 | 10.8% | 19.1% | 26.8% |
| エピファネイア | 14回 | 12回 | 19回 | 112回 | 8.9% | 16.6% | 28.7% |
| ハービンジャー | 14回 | 8回 | 11回 | 104回 | 10.2% | 16.1% | 24.1% |
| ディープインパクト | 12回 | 17回 | 13回 | 85回 | 9.4% | 22.8% | 33.1% |
| モーリス | 12回 | 9回 | 8回 | 66回 | 12.6% | 22.1% | 30.5% |
| キズナ | 12回 | 7回 | 7回 | 91回 | 10.3% | 16.2% | 22.2% |
| ドゥラメンテ | 11回 | 15回 | 19回 | 96回 | 7.8% | 18.4% | 31.9% |
| キタサンブラック | 11回 | 5回 | 2回 | 49回 | 16.4% | 23.9% | 26.9% |
| ルーラーシップ | 10回 | 8回 | 14回 | 105回 | 7.3% | 13.1% | 23.4% |
| ゴールドシップ | 8回 | 22回 | 9回 | 189回 | 3.5% | 13.2% | 17.1% |
皐月賞2025 - 過去10年のデータ傾向
面白くない言い方をすると、強ければ、人気に負けない走りができる
来たのはサートゥルナーリアとコントレイル、その他、サトノダイヤモンド、ドウデュース、ファントムシーフ。 いずれにも、中山や阪神の2000Mで勝ち星か、重賞好走実績があった。
来なかったのは、サトノクラウン、牝馬のファンディーナ、ワグネリアン、ダノンザキッド、昨年のレガレイラ。 大物も多いが、牝馬が中山実績で売れるのは、やはり危険。 面白いもので、正攻法、ディープインパクト記念=旧称弥生賞の無敗出走馬がここで負けている。 いわば、ドウデュースも無敗で行って、ディープ記念で敗れ、また一つ着順を落とした。
が、後者はレガレイラ以外、G1初出走。 無敗馬は扱い方自由なので、断然なのは間違いない、恐ろしいほどの単勝支持率になりそうなクロワデュノールが、消えると最初から言うやつは、嫌われる以前に、信用できる要素を持ち合わせない人間ということになる。 半分は馬券になるのだから、とりあえず買っておけ。 また、そうなると買い目も絞るしかなく…。 点数は兎も角、軸になる馬を絞るかどうかを、この人気馬の扱いが重要な傾向から、ほぼすべてのスタンスが決定するという、世界に冠たる競走馬生産国のクラシック競走の重みを、一旦は噛みしめた上で、穴馬もまた絞り込みたいところだ。
本流はディープ記念ではなく、共同通信杯という罠
共同通信杯から直行の組で、唯一、上位争いに加わったのは、朝日杯フューチュリティS2着馬で、断然の支持を集めていたステラヴェローチェ。 これが5着に敗れ、鞍上が替わるなどの騒動もあり、結果、エフフォーリアに返り討ちにあったものの、ダービーも3着で…。 共同通信杯3着馬がシャフリヤールというような年。
こうして偏ったなら、傾向の分析をするまでもないとなってくるが、皐月賞をやらないと全体の整理は出来ないから、一旦は、ちょっと俯瞰で見るというひと手間が必要だ。
ホープフルS完敗のマスカレードボールが、東京戻りで快勝。 それに迫ったカラマティアノスも左回り適性で好走したスピード型。 本来は、こうした才能あふれる皐月賞向きの馬は面白いのだが、勝った馬が、ホープフルS組であったという時点で、かなり疑わしいとなってくる。 求めるべきは、エフフォーリアとステラヴェローチェのような構図。 ここで3、4、5着だった馬のどれかが、新規参入を叶えていたら、構図は変化していて、昨年のジャスティンミラノのような展開を期待できたのだろうが、クロワデュノールの自滅待ちに等しいこの組は押さえづらい。
単純比較で、ディープ記念組はここでは弾けない公算が大きく…
ここ10年で未勝利。 15年として、ギリギリでヴィクトワールピサが引っかかり、20年でも、無敗だったディープインパクト<死して自分の名が冠されるとは、弥生賞を勝った時点では誰も思っていなかったが、皐月賞独走Vで皆の評価が固定化される>、朝日杯3着馬のキャプテントゥーレだけ。
30年としても、これらに古い順で、イシノサンデー、セイウンスカイ、エアシャカール、アグネスタキオンがいるだけ。 サニーブライアンだけは、中山時代の若葉Sを挟んで、本番を勝った。
30年で7頭では多い方だろうが、ここ20年で3頭だと、少し心許ない。 距離が長いというよりも、求められる緩急の競馬が、明らかにダービーや菊花賞、それ以降の王道G1戦線において求められることになるスキルという話だから、繋がらないのは当然。 トライアルだからと言って、本番と時に3秒ほどのタイム差がついてしまうということでも、この辺りの出し入れには気を付けたい。
ファウストラーゼンもアロヒアリイも独特の魅力があるものの、スピード実績で当該コースの2歳レコードを作ったヴィンセンシオと朝日杯連対のミュージアルマイルを拾うのが、ある種の常道。 連続好走はかなりの難易度であり、G1完敗馬が快勝のトライアルでは、他の舞台で示した単純能力の高さで、絶対に限りなく近い存在の2歳王者との比較をしないといけないのだから、必然的に、薄めに買いたい相手を探す構図にもなってくる。
本当に買いたいのは、オープンは1800までの経験しかない馬
10年前のドゥラメンテが共同通信杯を使うまでに、全てのレースが東京芝1800ということがあった。 その前年の覇者であるイスラボニータも、重賞連勝などの実績が目立ったが、新潟2歳S好走など、1800以下の実績しかなかったが、本番は快勝。
断然の支持を受ける馬の多くは、2000Mの実績があるばかりなのだが、ホープフルS勝ち馬しか人気通りに勝てなかったというだけでなく、それらが接戦に持ち込まれていたということからも、自分は受ける不利など、様々な要因からして、速い馬であるという現在では当たり前になった皐月賞馬に当てはまる格言の通りに、その点でフィット感のある馬を押さえるべきとなってくる。
今は2歳戦から、夏の時点でも2000Mのレースが組まれているから、ドゥラメンテ以降の勝ち馬で、2000未経験の馬はマイル戦でデビュー2連勝を決めた後、毎日杯とここを好時計で制したアルアインと朝日杯でも人気になったジオグリフに限られるが、ダービーなどを無視して、こうした武器で混戦を切り裂いた例は、過去に何度もあって、また、実際問題、ダービーの2400Mよりも価値のある距離と評価される2000Mの皐月賞に、完全なる距離適性を求める意味はもはやない。
スケール感がビッグスター級なら、1800で行われる唯一のトライアルであるスプリングS組は買える。 今年は偏った結果が多いので、勝ち馬こそ、本流のホープフルSで肉体的な消耗をあまりしていない馬であったものの、高評価と言う点で、スタートで失敗も強引に権利をもぎとったキングスコールも面白い。 2000で強い馬であることを証明してみせたクロワデュノールに、その才能で負かすことは、そもそも、あり得ないとできる。 それに任された馬ばかりが活躍しているのだが、1800オンリーの実績でも構わない。
ダイワメジャーもキャリアホースだったコスモバルクを、スプリングS激流3着からの大逆転でねじ伏せたのだった。 キタサンブラックの父であるブラックタイドが唯一の重賞タイトルを得たレースを経て、ダイワメジャーが大きく育つきっかけを得たという構図は、それから21年経った今年、また当てはまる可能性がある。
2004年も馬場発表は稍重。 展開が真逆に近かったが、連続好走するには、特殊な何かを抱える以外、勝ち運残しながらの1勝馬による静かな権利とりが、派手な競馬で行われたというところで、血統の因縁からも、狙い目となっている気がする。 そんなような無理筋でないと、強いクロワデュノールを倒すという図を描く手段を導き出せないから、早々に、ダービーでのクロワデュノール本命は既定路線だと、勝手に勝ち馬を決めつけるのである。
皐月賞2025- 出走予定馬の血統/成績/タイム
キタサンブラックが人気になるなら、ドゥラメンテしか相手にならないという論法
キングスコールの血統
ゴージャスかつ勇敢な挑戦者に相応しい名を授かり、ギリギリではあるが、クラシック本戦に何とか間に合ったキングスコールは、皐月賞、ダービー二冠のドゥラメンテと英国のマイル戦を中心に14戦無敗だったフランケルという、いびつでも極めつけと言える芝本流同士の取り合わせという、ある意味では激しさを武器にした血統構成を、名刺代わりに持ち合わせる。
加えて、エアグルーヴという基礎繁殖牝馬が、ネアルコ直系×ハイペリオン系のトニービンとノーザンテーストの組み合わせで誕生した、競走馬としてもチャンピオンに上り詰めたスターホースであり、間に一つ挟んだ、ネアルコ系と母父ハイペリオン系ということでは、娘であるアドマイヤグルーヴの父であるサンデーサイレンスが当てはまり、強い荒ぶる王者同士の配合という印象に、少なからず、軽くはないスピードを伝える強みを、大きな武器としている側面がある。
サンデーサイレンスと同じく、間に違う系統、この場合はネアルコ系同士ということになるが、母父フランケルの父父であるサドラーズウェルズも、構造上はサンデーサイレンスとも近い形。 母のレインオンザデューンがネアルコ系×ハイペリオン系。 相似の同型配合が、どこを切り取っても見つかる、面白い組み合わせであると同時に、キングマンボ系であるからか、そうしたところに、エルコンドルパサーのような、ラフショッドの血をてんこ盛りにした中に、ノーザンダンサーの強いクロスも加えるという、圧倒的な血統表の美を追求したかのような組み合わせには、配合的にはよく似ている、スーパーステイヤーだったタイトルホルダーなどと比べても、いくらか華やかさがある。
母がGB産となると、鈍重な印象だが、母母母の構成はコジーン×ミスプロという比較的ライトな10F以下に向く快速の配合で、そもそも、その兄は北米の3歳重賞戦での勝ち鞍もあるという実績からも、重い芝血統ではない。 イメージよりは軽く走れる重い血統のクロワデュノールと比べて、もしも、奇跡の逆転を真実ならば、こうした組み合わせの馬の中に、妙味ある存在を見つけていく方が合理的であろう。
ここ2年、2戦無敗の前走から中8週以上開けて出走してきた期待馬が、1番人気ではなかったものの、皐月賞馬に相応しい振る舞いで、完勝を続けている。
その前は、3戦全勝の上位人気馬の勝利が3年続いた。 2戦無敗だったイクイノックスは、ステーブルメイトで札幌2歳王者のジオグリフに屈したというか、大外枠で自滅しただけの2着であったものの、その後の活躍は、競馬界で知らぬ者がいないほどの成り上がり方であり、この敗戦さえも、大きな成長の糧とした一面があった。 この時点で、3戦無敗で2歳王者となった1番人気のドウデュースに先着したから、ダービーでの逆転はあったものの、リターンマッチとなった4歳秋は完勝。 彼らのドラマはとても長く続いたが、一番最後が最強という点で、モノの見事に共通するのだから、あまりにも偉大な存在である。 トランプ翁も大いに見習うべきだろうが、反省のない無敵の暴走老人は、今や、世界最狂のプレジデントになってしまったから、質が悪い。
頭が狂っているような印象さえ受けた、クラシック二冠のドゥラメンテを父に持ち、母父は3歳時にとても前進気勢が目立ったマイラーにしても非凡であったフランケルという配合のキングスコール。 そのフランケルに、3歳時のロイヤルアスコット・セントジェームズパレスSへグランプリボスを差し向け、大敗。 またドゥラメンテを一度負かしておきながら、以降はまるで歯が立たなかったリアルスティールを管理したというのが、キングスコールを手掛ける矢作芳人調教師だ。
皐月賞2025 - レース展開と最終予想
気持ちの切り替えが難しかったのだろうが、屈辱にも等しい、アウェーの洗礼というやつは、チーム再編と厩舎全般におけるマネージメントの質向上の好機であると同時に、あの怒りに満ちた、敗軍の将のインタビューでの表情から、並々ならぬ執念、もう一皮剥けた世界のYAHAGIが見られそうな気がして、妙なワクワク感もある。
このことについて加筆。 もしも、不正な八百長の被害であるなら、ことは中東の笛レベルの話で済むが、もしも、スター・フォーエバーヤングの世界レーティングに関わる、競馬大国からの危ないレベルの圧力がかかっていたと仮定した時<北半球の生産界にとって極めて重要な季節でもある>、主催者側の悪意ある対応の是非では、きっと済まないレベルの深い闇である可能性があるから、是正に向けた提言や抗議は、的確な方策を考えてから、その抗議に勝ち目がないことを避ける慎重さが求められる。 オーサムリザルトのBCディスタフでのスクラッチは、陣営は万全の態勢で、歩様に独特の仕草があることを伝える努力を重ねながら、何だか、恣意的なルールの活用で弾き出されたような不可解さを残したから、それと似た雰囲気を筆者は察知したのである。
ケンタッキーダービーでの進路妨害云々とは、明らかに別次元だろう。 あのパドックで目が血走っていたフォーエバーヤングは、ビッグハートであるはずの本来の彼の姿とは程遠かった。 師の怒りには、大いに共感を覚える。
大本命を敗者にしてしまった経験は、一度や二度ではないが、もはや、完全なるアップセット<番狂わせ>を狙いつつ、掲示板を外せば、ダービー出走への道が一気に厳しくなるキングスコールは、唯一、完璧なスターになりかけているクロワデュノール<前年の有能なクラシックウイナーと同格かそれ以上の存在>に、土をつけられそうな雰囲気を感じている。 彼もまた、ビッグハートの持ち主であって不思議ない。
2番人気ながら、後にジュベナイルフィリーズ3着に入るテリオスララとは差のある評価だった札幌の新馬戦は、人気各馬の動きが複雑で、近年の小回りのレースの典型である、スロー逃げ切りを許さない早仕掛けが見られた中での番手付け。 結果、テリオスララに終始、厳しいマークとまではいかないも、自分がレース全体の動きに大きく関わる状況に置かれながら、冷静な振る舞いで藤岡佑介騎手が、直線までのスパートのタイミングで、一度たりとも急かさなかったことで、直線平坦の札幌では、もう独壇場という結果になった。
一番緩んだ3F目が12.6秒で、超スローの流れではなかったが、これが発進から加速まで手間取ることで最遅ラップとなりやすい最初の区間と同じ記録。 ところが、その他で12秒台中盤は4F目だけ。 あとはキレイに11秒台中盤の、楽ではないが誰でも一度は繰り出せるようなラップが計5つ入り、それが終いの4Fに凝縮。 他が走れなかったということもあるが、キングスコール自身が非凡な才能の持ち主であることを、最高の内容で示した新馬戦であった。
そこから、大いなる沈黙の季節を3つ経て、雨の中山で帰還した時、ファンは1番人気に推して、彼の復帰を出迎えた。 しかし、こういう危険な匂いのする馬であるからなのだろう、決まって、発走の1、2秒前に変な体勢になっていた。 不安定な駐立の中で前に動くなどしている内に、少しかがむそうな態勢で前扉が一斉に開いて、馬がびっくりするように、飛び上がるような出脚となってしまったら、当然、前に行けるわけはない。
ただ、佑介騎手は立派なエスコートをする。 危ない一面が必ずどこかにあって、それが前面に出ないようにするためにも、リスクは承知で、馬の動きに制約を与えないように、外からの進出を狙ったポジショニングをしたのだ。 積極性を身上とする騎手であるからこそ、こうした場面での振る舞いにも、色々な引き出しがあったのだろう。
妙案を持っていたのかまでは不明も、ホープフルSで我を失ったように自滅したピコチャンブラックに突っかかっていく中盤からの進出を敢行し、少し無理は承知でも、石橋脩騎手がそれをサインとするように、ピコチャンをもう少し前に位置に押し上げ、被されないようにしたところで、レースは終わったのかもしれない。 結果、ピコチャンブラックが押し切り、絶妙なスパートで追い上げてきたフクノブルーレイクにも交わされながら、むしろ、最後の抵抗というよりも、もう一回差し返してやろうという意欲で、また追い上げようとしたところでゴールしたキングスコールは、厳しい1戦1勝馬の立場としては上々、マテンロウバローズのイン抜け出しを許さず、粘りに粘ったというよりも、まだ余力を残したような3着とみた。
雨の中山で、ピコチャンブラックくらいに好走をしてしまうと、決まって反動は出るが、2戦目の関西馬で、皐月賞トライアルのG2で好走、それも、人気の通りに結果を出す馬というのは、まず滅多にいない。 雨馬場を利したという意見も見られたが、それは、ピコチャンブラックもそうであるし、前受け絶対有利のコース形態、出負けでは直線一気が常道の中山1800では、休み明けでの結果としては、実のある内容、十分な上積みを思わせる皐月賞出走馬の一頭ともなった。
一方、父もその父もスプリングS勝ち馬で、いずれもが本番連外しの流れから、少しだけ枠の外に出ているようなところのあるこのキタサンブラック産駒は、2戦2勝の候補を複数連対馬に送り込んだ、皐月賞での成功例が既にあるところに来て、この一頭も、トライアル1番人気だったことを逆手にとって、十分な可能性を持った伏兵に挙げていいようにも思えた。 ある意味、ピコチャンブラックやホープフル好走の2頭などと並び、本番でも期待のトライアルホース、としていいだろう。
ピコチャンブラックには強敵と戦った強みがあったが、一応のテリオスララに先着の実績を持つキングスコールは、評価下げはあり得ないトライアルを経て、本番では最低でも同レベルに扱うべきであり、特殊な対戦構図のため、王者と未対戦の組に可能性を求めるべきレースでもあるから、肩入れするなら、トライアルと本番の関係性からも、道悪であったからこそ、尚のこと、キングスコールにチャンスありとみた。
今から、ちょうど10年前。 堀厩舎から2頭の期待馬が、一気にクラシック総なめの勢いで、皐月賞でも人気になった。 タスティエーラの父になるサトノクラウンが人気になり、キタサンブラックより上の評価を受けたのが、矢作厩舎のリアルスティールであり、堀厩舎のドゥラメンテであった。 立ち遅れて後方からの捲りが決められなかったサトノクラウンだけが着順を落とし、リアルスティールがキタサンブラックを交わして、完勝の流れを作っておきながら、危ない内から外へと持ち出す際の怪しげな動きから、瞬間的に立て直しを図ったドゥラメンテが、強烈な直線一気で全てを呑み込んだ一戦。
衝撃的なレースはダービーにも引き継がれるが、勝ち味を覚えたモンスターにとって、勝つべくして勝ったレースは、意外なほどに普通のレースにも見えてしまう。 ダービーでは皐月賞以上の決め手を繰り出していたが、ディープインパクトとは違って、コントレイルがそうであったように、最初から自分が有利であると馬が理解していると、どんなに数字上で理解できる極めて有能な記録が見つかったとしても、実際のレースで見られるそれを、人間は鵜呑みにしていることがある。
大きくバランスを崩して躓いてから発進のディープに、東京皐月賞を完全ジャックのオルフェーヴル、斜行したようで誰とも接触さえしなかった4コーナーを経て独走のドゥラメンテに、強烈な渋馬場にコーナーでの接触事象が連続したコントレイルなど、皐月賞・名勝負列伝には、それなりの名馬らしいドラマがある。 適性を超えたところで戦うべき存在となるべきクロワデュノールには、スマートな競走馬でありながら、そうした才能を発揮すべき舞台へのステップとして、ダービーとは違う何かが問われた時、残り1%という常套句の通り、伏兵陣による逆転の可能性が残されている。
十分に古馬に通用する可能性があるクロワデュノールの敵は、出来云々ではなくして、ダービーの前に中山で走ることのリスク。 九分九厘以上、ダービーでの戴冠は決まっているとできるほど、彼はダノンデサイルにも負けない直線での決め脚比べにおける、圧倒的なスパート能力があり、ダービー10番手以下で3コーナーを回ってきても、まず勝ち負けであろうが、その可能性は皐月賞でより発生しそうな状況で、非凡な加速力を持つドゥラメンテの仔は、キタサンブラックの総合力を凌駕して不思議ない。 顕彰馬級の才能は持ちつつ、怪我というか、自分自身で走れない体に追い込んでしまったほど、動きが鋭すぎたドゥラメンテは、まだ力を発揮できないはずの状態でも、天才的に動けてしまった。
そういう才能の持ち主であると思えるキングスコールに、アップセットを期待する中で、クロワデュノールの圧巻の一冠目戴冠を臨んだとて、誰の目に明らかな才能の違いからも、何か不満のある外れになるとは思えなかった。 何だか長生きしそうなキタサンブラックと早世のドゥラメンテ。 何から何まで別物だったが、最後となるクラシックでの対決で、我々の知らない何かを秘める者同士が、引き合うことで生まれるドラマに、どうしても期待感が出てしまうのは、父がそれだけ、偉大な競走馬であったからなのかもしれない。 そういう逆転劇を、矢作芳人調教師自身が体現してきたのだから、この少し馬鹿げた画も、現実のものになって何ら不思議はないだろう。
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