3連敗で即、あきらめる潔さ
確信は夢でもありました。資金が増えたら投資額も増やすという「段階的」なコロガシで最終的には1000万を獲得するという、競馬予想会社Yの広告宣伝用の企画には魅力も感じましたが、私は予想そのものに期待しておりました。
たとえ爆発的な回収率がなくても、トータルでプラスが出る予想さえあれば、それは金脈を見つけたことになります。私が求めていたのは「買えば買うほど儲かる馬券」でしたから、普通に買っていて、若干でも利益がでれば、もう夢を掴んだも同然なのです。
そして普通に買うよりも少しだけ回収率を上げられればと思い、外れた次のレースには投資額を増やすというやり方を選んだのです。この方法は、「追い上げ」と言われる買い方ですが、投資額を2倍ずつ増やしていく「マーチンゲール法」ほど危険な投資法ではありません。しかしこれは的中率が6割もあればそれほど連敗の危険性もないだろうという想定だったのです。
しかし、その翌週、そしてその翌週と「勝負レース」は外れ、3連敗。いつもはもっと当たっているのかもしれないし、私たちの運が悪かったのかもしれません。しかし、この時点で夢も確信も消えてしまいました。
会費の有効期限は残っていたし、3連敗したのですから、普通なら「今度こそ当たるはずだ!」と最後の賭けに出るところですが、私は、そして一緒に入会したKも、もうそこの予想を聞くことしませんでした。
競馬予想会社Yの広告が誇大だったとは思いません。それより、私はそこで予想監督をしている予想家の本を読んだこともあって、そこに書かれていた競馬予想に関する理論が本物であると思っていたし、その理論を提唱した本人が確信を持って提供した「勝負レース」であれば「買えば買うほど儲かる」はずだと信じていました。
そこまで信じきっていただけに、3連敗した時点で、頭を金槌で殴られ、全てがリセットされたようでした。
⇒ 次の話はこちら
⇐ 前の話はこちら
* * * * *