予想会社の社員になるまで(11)

ついに、あの予想会社に入会

夢を見たような見ないような、短い馬券師生活とお別れした私は、就職情報誌で新しい職場を探しました。一応、競馬予想会社など競馬関係の仕事が載っていないかどうかはチェックしていましたが、見つかりませんでした。結局、残業がないという記載が目に留まった小さな商事会社に入ることになりました。

前職は作業着での工場勤務でしたが、今度はスーツにネクタイ。残業はほとんどなしといった夢のようなサラリーマン生活が始まりました。会社から帰ると就寝まで時間がたっぷりで、競馬の研究は十分にできました。出目の研究も引き続き行いましたが、一般的な競馬理論にも興味を持ち深めていくことになりました。

毎週月曜になると週刊競馬報知を買い、競馬予想会社の広告を舐めるようにチェック。同時にその週行われる特別レースの検討も行いました。そして週末は検討結果を記入した専門紙と出目データを手に渋谷場外へ。そんな毎週毎週の繰り返しがまた始まりましたが、一度踏み込んだスランプという迷路には出口が見つからず、いつからか徐々に聞こえてきた、「同じことを続けていてもダメだ」という心の声をはっきりと意識するようになりました。

そんなとき、会社の上司(主任)Kが競馬に興味を持っていることを知り、競馬の話をするようになりました。彼は競馬が好きというより、単に金儲けをしたいだけの人でしたが、根っこは私も同じ。気は合いました。ある日、Kがスポーツ紙に載っていたYという競馬予想会社の広告を見て「ねえ、○○ちゃん、ここに一緒に入会してみない?」と甘い誘いをかけてきた。

そのような会社に興味があるということは、私は一度も話した記憶がありませんでしたが、やはり彼とは同じ人種と見られていたのでしょう。その競馬予想会社は、ラジオ関東(現・ラジオ日本)の競馬中継で解説も務める有名な予想家が予想総監督を行う優良会社で、私が以前から目を付けていた一社でした。

私は入会金と1開催(4週間)の合計38,000円をK主任と折半し、ついに会員となったのです。Yという会社の売りは、なんといっても1開催に2〜3回だけ提供されるという勝負レースです。勝負レースは3回に2回的中するという前提で、手持ちの資金が増えたら、レースの投入金額も増やしていくという一種のコロガシ法を活用することで元金10万円を1000万円にするという魅力的な企画が広告内で説明されておりました。

実際の会員名義はK主任で、競馬開催当日に私は彼が聞いた予想を教えてもらうということになりました。そして待ちに待った週末がやってきました。

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