予想会社の社員になるまで(2)

あんちょこ予想屋との出会い(その2)

平均的な競馬ファンよりも馬券に使う金は多かったと思います。なので馬券を当てることに全能力を集中していたことも確か。でもそれだけでは神経がまいってしまうので、馬券売り場の中に入ったり出たり。外に出て近辺をうろついていれば、当然予想屋の威勢のいい声が耳に入ってきます。

皮がこげたいつもの焼きフランクフルトを食べながらギャラリーの一番後ろに立って聞いていると、その予想屋はなんやら小さくて薄っぺらな本をガラガラの声で売っていました。100枚はあるかと思われるワラ半紙をどさっと置いて、そこにマジックで字を書きながら本の使い方を説明していました。

当日の第1レースでどのような枠連買目が出たかによって(当時はまだ馬連は発売されていなかった)、その日の出目傾向が分かるというもので、その小さな本には開催日と第1レースの結果買目ごとに以降のレースでもっとも出やすい買目が記されていました。

予想屋は過去の実績を、実際にその本を使い、開催日が4日目で第1レースが56だったときはこのページで、ここに書いてある買目をレースごとに買っていくのだと、ワラ半紙に書きながら説明していました。なんと1点買いで1日に2〜3レースほど当たっているです。

馬が走っているのではなく数字(枠番)が走っているのだと予想屋は言います。なので人気には関係なく高配当も簡単に当たり、ギャラリーの何人かは関心してしまうのです。予想屋は開催日と第1レースの結果ごとにいろいろなパターンを、これでもかと(ワラ半紙をめくって書き込んでいきました。

過去の結果ですからたまたま当たったものだけを誇示しているのだろうと、私だけでなく多くの客は思っていたに違いありません。しかし我々の心を見通しているかのように、予想屋は当日の予想について説明を始めました。

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